バロック調弦では、先ほども記したが、リュートの奏法を追及していく中で、2度音程を多用する、不協和音を使用することが多かったため、調弦はかなり変則的なものとなっている。今日、バロックリュートの調弦というと、ニ短調調弦を指す。歴史上も17世紀中ごろからこの調弦が最も一般的となっていた。ピッチとしては、今日ではaを440~442Hzとするピッチが一般的である。バイオリンは442Hzに合わせる。しかし、リュートが盛んであった当時は、地方や時代によってさまざまなピッチで調弦されていたとされている。これがどのように判明したかというと、歴史的な管楽器やオルガンのパイプの長さを見るとわかる。なぜなら、管楽器の長さというのは不変であり、この長さでピッチが決まってくるからである。リュートのような弦楽器は、弦の太さや張力を変えることでどのピッチにも変えることはできる。しかし、実際はその楽器に最も最適とされるピッチが存在している。